クセ毛を理解する③【ブースター軟化とダブル軟化】

理論

こんにちは。ヨシダです。

美容師としてのサロンワーク経験を活かし、現在は「ダメージケア」に特化した情報を通じて、美容師さんや美容ディーラーさんのサポートをする仕事をしています。

難しいと敬遠されがちな毛髪や薬剤について、できるだけ簡単にわかりやすく書いていこうと思います。

引き続き、縮毛矯正に関する内容を書いていきます。

(前回の記事はこちら↓)

1剤は強ければ良い訳ではないという内容で書きましたが、今回は、具体的な施術方法の例を書いていこうと思います。


まず、一般的に「浸透しにくい」と言われる状態で考えましょう。

脂性でベタつきが強い髪だったり、アイロンの使い過ぎで熱変性を起こして硬くなっている髪なども含みます。

こんな時は、おそらく強めの薬剤を選択するのではないでしょうか。

決していけない訳ではありませんが、注意が必要です。

例えば、伸びにくいからといって、やみくもに強い1剤を使い、しかも加温したりすると、髪の表面で薬剤がパワーを使ってしまいます。

これは「表面軟化」が進んでしまう可能性があり、注意が必要になってきます。

なぜなら、やっと内部に浸透できた時には著しく薬剤のパワーが減少しているので、髪の中まで軟化できなくなり、しっかりとクセを伸ばすことができません。

その反面、キューティクルに過剰な負担がかかってしまい、ガザつきの強い状態になってしまいます。

では、それを回避するために、こんな方法はいかがでしょうか。

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浸透を促進させる薬剤を利用したブースター軟化

この軟化方法のポイントは、「尿素」を配合した浸透促進系の処理剤です。

これで前処理を行い、髪の内部を膨潤させてキューティクルをずらし、薬剤の浸透をサポートします。

ちなみに「ブースター」とは浸透のことですね。

強いアルカリ剤を使った浸透促進剤で強引に髪を膨潤させる訳ではなく、天然保湿因子の主要成分のひとつである「尿素」がもつ、水素結合をゆるめる力を利用する方法です。

よく尿素配合のクリームがありますが、硬くなった角質を柔らかくしたりしますよね。


毛髪にどのように作用するのかというと、尿素がキューティクルの隙間から内部に侵入し、水分を吸収して大きく膨れます。

すると髪の内部が膨潤し、キューティクルがずれることで、毛髪内部への薬剤の浸透を向上させることができるのです。


基本的に波状毛は、強めの還元剤でしっかり軟化してからストレートアイロンで伸ばし、酸化剤で固定すれば真っすぐになります。

しかし撥水毛の場合は、薬剤の浸透速度が著しく遅くなってしまうために、上記のように前処理で薬剤が浸透しやすいようにしてから、1剤で軟化すると非常に効果的です。

毛髪に大きな負担をかけることなく、薬剤が浸透しやすくなる環境を整えることができるようになります。

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S2 還元を利用したダブル軟化

この軟化方法は、うねり毛の軟化に効果的です。

うねり毛を均等に軟化することは難しく、硬くて軟化しにくい S2(疎水部)が局所的に存在するため、その部分が軟化不足になることで、クセを残してしまうことになります。


そこで、「ダブル軟化法」により、まず S2部分へのアプローチが得意な還元剤で硬い部分のS-S結合をゆるめた後、S1(親水部)へのアプローチが得意な還元剤でその他の部分のS-S結合を切る方法、つまり二段階で異なる環境のS-S結合にアタックして軟化させることが有効になります。

このように、うねり毛の最大の攻略ポイントは、二つあります。

一つ目に、S2部分が局在した硬い芯の部分の軟化です。

ダブル軟化を成功させるためには、S2部分の還元が得意な還元剤を用いて「プレ軟化」をするのが効果的です。

二つ目に、S1部分へのアプローチが得意な「チオグリコール酸」を用いた還元剤は、アルカリ度とpHを下げたものを用いて、できるだけ短時間で軟化するように設計することです。

そうすることで、過剰な負担をかけることなく、毛髪内部をバランスよく軟化させることが可能です。


この二段階の工程ですが、実際に行ってみると、そこまで時間がかかり過ぎるという感覚はありません。

なぜなら、プレ軟化(10分程度)を行った後のチオでの本軟化は、弱めの薬剤でも反応が良いので、あまり時間を長くおかなくても軟化しやすいです。

特に、システアミンでのプレ軟化の際は、パルッキーなどの圧縮蒸気を併用すると時間短縮になりますし、効果も上がります。


強めの1剤で長めに放置するシングル軟化、もしくは流しの手間はかかるけど2回に分けて行うダブル軟化。

どちらが正解という訳ではないですし、意見が分かれるところではあります。

個人的には後者の方法が、それぞれの還元剤の効き具合がわかるので判断しやすく、やりやすいですね。



システアミンとチオグリコール酸の二種類をミックスしたハイブリッドタイプの還元剤もありますので、同時にS1とS2を攻めることも可能です。

その場合、同時に攻めるメリットは、なによりも時短ですが、デメリットとしては、それぞれの領域に「還元反応の差」が出る場合もあるので、負担をかけずに均等にしっかり伸ばすという意味では、うまくいかない場合もあるでしょう。

参考までに、S1とS2、それぞれの領域へのアプローチが得意な還元剤の種類をまとめた上図をご覧ください。

今回の施術方法のご提案では、一般的によく使われている還元剤である「システアミン」と「チオグリコール酸」を用いて説明させて頂きました。

ちなみに、波状毛とうねり毛の両方を合わせ持つ「強い縮毛」の場合は、ブースター軟化とダブル軟化の両方でアプローチするのがベストです。

比較的強めの薬剤が必要になってくることは否めませんので、慎重な施術は必要ですね。


少し難しかったでしょうか?

この方法が全てではないですが、ぜひ参考にして頂けたらと思います。


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参考資料:marcel No.155「ケミカル処理による毛髪」

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