システムトリートメントの設計をイメージしよう

理論

こんにちは。ヨシダです。

美容師としてのサロンワーク経験を活かし、現在は「ダメージケア」に特化した情報を通じて美容師さんや美容ディーラーさんのサポートをする仕事をしています。

多くの美容師さんに難しそうだからと敬遠されがちな毛髪や薬剤の知識について、できるだけ簡単にわかりやすく、でも大事なことはしっかりと書いていこうと思います。

前回の記事では、健康な髪であるための条件について説明させて頂きましたが、今回は実際にサロンワークでの施術でシステムトリートメントを行う際にイメージすべきポイントについて説明していこうと思います。

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システムトリートメントの考え方

まず最初に必要なことは、お客様の毛髪診断で髪質やダメージの状態をしっかりと確認し、その髪にあったトリートメント設計を行うことが重要です。

カットに展開図があるように、トリートメントも頭の中で修復のイメージを構築することが大切です。

復習ですが、ダメージした髪が最も健康でいられる疎水毛に変えていくには、①内部補修、②引き締め、③外部補修の三本柱が重要でしたね。

ダメージでキューティクルが傷んで破損してしまった後に、内部からCMCやタンパク質が流出していきます。つまり、髪の外部 → 内部の順に影響を受けるのです。(下図参照)

したがって、髪の修復を行うためには、ダメージの進行方向とは逆の方向の「内部 → 外部」へ補修成分を浸透させながらケアしていくことになります。

PPTやCMCで内部補修し、ポリフェノールによって毛髪を引き締め、酸によって毛髪を等電点に戻した後で外部補修を行う、といった工程が基本的な施術の考え方が理想です。


それではまず、ダメージレべル1〜4(親水毛)の場合のべーストリートメントを設計してみましょう。

上図の左矢印で示された修復方向の順で見ると、まずは「PPTの導入」とありますが、効率よく内部に浸透させるために、先にCMCを導入するか、または混合して塗布することにより、路を整えながらPPTを内部まで送り届けて補修していくのが理想です。

CMCの路がキレイに整っていれば、後に導入するトリートメント成分や油脂などが髪全体にしっかり行き渡ることになりますからね。

それでは、工程ごとに解説していきます。

ナノ化CMCで路づくり

トリートメントの施術で、まず初めに行うことが理想とされているのが、ナノ化CMCを用いた路づくりです。

キレイにCMCの路が整っていない状態では、どんなに良い成分を使ったとしても、髪には浸透しにくい状況です。

そこで、まずは小さくて浸透しやすいサイズのCMCで路を整えます。

参考までに髪の根元付近、中間部、毛先の各場所における髪内部の違いを比較してみましょう。

毛先に向かうにしたがって、コルテックス同士が離れていることが明らかです。

つまり、CMCが外へ流れ出ている状況なので、乾燥していて薬剤がなじみにくくなっているのです。



疎水型PPTの導入

ダメージが進行した毛髪からは、CMCだけではなくタンパク質までもが外へ流れ出てしまうので、ボイドが大きくなるのを防ぐ意味でもタンパク質を補う必要があります。

髪の主成分はケラチンタンパクなので、ケラチンを加水分解して小さくしたもの(PPT)を髪に補えばよいのですが、どの程度まで小さくしたものがよいのかを考えてみましょう。

ダメージが強い髪の毛ほど、ボイドが大きいことはこの記事で学びましたね。


例えば、大きな穴を石で埋めたい時、あなたは小さな石と大きな石のどちらを選びますか?

穴を埋めるスピードを重視するならば、「大きな石」の方が圧倒的に有利で効果的であることが予想されます。

ダメージ補修も同じことが言えます。

ダメージによってできた大きな穴は、大きな成分、つまり高分子ケラチンで埋めるのが効果的です。

高分子ケラチンはPPTとして疎水的な性質が強いので、つまり髪が健康であるための疎水的な条件に近づけるためにも、非常に重要な成分となります。

しかし、大きい石ばかりで穴を埋めたとしても、必ず隙間ができてしまいますよね。

その隙間を埋めるためにも、中分子や低分子量のPPTも必要となってきます。

しっかりと穴が埋まった髪は、強度が高くなりコシがでます。



CMCによる接着

ナノ化CMCは、路づくりをするために欠かせない成分でしたね。

先程も書いたように、ダメージ毛はコルテックス同士が離れてしまい、髪は枝毛や切れ毛が多くなってしまいます。

つまり、CMCが失われると髪の細胞同士がくっついていられなくなるのです。

それを回復するための接着剤の役割を担うのが、「マイクロCMC」と呼ばれるものです。

このマイクロCMCは、ナノ化に比べ1000倍も大きいサイズなので、ナノ化CMCと違って接着力に特化した働きを担っています。

先述したPPTと同様、ボイドが大きいダメージヘアには大きいサイズと小さいサイズ両方のCMCが効果的になります。

したがって、マイクロCMCを用いてコルテックス同士を接着させています。



ポリフェノールで収れん

髪はダメージを受けると少し膨らんだ状態のままになっているので、内部補修が終わったら軽く引き締める必要があります。

ポリフェノールは、軽い収れん作用や、散らばったタンパク質を集めて固める性質があるので、膨らんだ髪に含まれた余分な水分をポリフェノールの収れん作用で外に逃し、毛髪内部のタンパク質をまとめておきましょう。



ヘマチンによる架橋

さらにダメージが大きい髪は、ボイドを疎水型PPTと接着CMCで埋めても、どうしても抜けやすいため、ヘマチンを用いてPPT同士を架橋(ボルトでPPT同士を繋ぐようなイメージ!)しておくことで、より安定にすることができます。

等電点に戻す

髪内部にCMCとPPTを導入することにより、髪が水分を調節しやすくなるための土台ができあがります。

そして次に、髪が疎水であるための条件の一つであった「髪が等電点にある状態」にする必要があります。

ダメージしている髪は、マイナスの電荷を帯びています。

酸リンスのような役割の処理剤を用いれば、それが持つプラスの電荷で打ち消すことができます。

そうすることで髪を±0の状態にし、疎水へ近づけることができます。



キューティクル補修

ここからは外部補修です。ダメージにより破損してしまったキューティクルを補修するために、擬似キューティクル(キトサン、オイルなど)で髪を保護していきます。

内部補修ができても、この工程がいい加減では台無しです。

開けたドアはきちんと閉めることが大切です。



18-MEA で皮脂の路づくり

キューティクルの表面には皮脂を髪表面に広げながら、髪の先端まで運搬する機能があります。

この仕事をしている物質が18-MEAです。

アルカリや紫外線によりダメージを受けると、キューティクルの表面にあった18-MEAの草原を刈り取ってしまい、皮脂の通り路を壊してしまいます。

この破壊は、髪のバリア機能が低下する(表面が撥水性から親水性に変わる)だけではなく、肌や髪を保護している皮脂を運べなくしてしまいます。

結果、枝毛や切れ毛が進行しやすい髪になり、ダメージは加速的に進行します。

そのため、ダメージ補修の最終仕上げの形として、キューティクルの表面に皮脂を運ぶ能力(自己回復能力)を付与しておくことが大切なのです。



以上、ダメージが修復していくイメージはできましたか?

3浴式のシステムトリートメントが主流ですが、幅広いダメージや求める質感に合わせて、4〜5ステップのシステムもありますよね。

各メーカーのシステムトリートメントは、基本的には今回ご説明したような働きを、3〜5ステップの工程にまとめて簡単にできるように設計されているのです。

それでは次回も宜しくお願いいたします!

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