健康な髪であるための最低限の3つの条件

アシスタント向け

こんにちは。ヨシダです。

美容師としてのサロンワーク経験を活かし、現在は「ダメージケア」に特化した情報を通じて美容師さんや美容ディーラーさんのサポートをする仕事をしています。

多くの美容師さんに難しそうだからと敬遠されがちな毛髪や薬剤の知識について、できるだけ簡単にわかりやすく、でも大事なことはしっかりと書いていこうと思います。

前回の記事でCMCについての説明は一区切りつけましたが、今回はそもそも健康な髪ってどんな状態なのか?といった視点で簡単に説明していこうと思います。

健康な髪を「疎水毛」という意味

私自身、ダメージケアのセミナーで「疎水(そすい)」という言葉を初めて聞いたのですが、全く意味がわかりませんでした。

「水を疎(うと)む」と書いて「疎水」なんです、と言われても、そもそも「疎む」がわからないし…。

基本的に分からなくてもサロンワークで困ることはありませんが、最近はメーカーのパンフレットでもよく書いてあるワードなので、意味がわかっていて損することはありません。

疎む(うとむ)

きらう。いやだと思って遠ざける。親しく思わない。

要するに「水を疎む」とは、「適度に水を嫌う」、このような状態のことを言います。

幼い子供の髪のように、軽く水をはじくような自然なツヤがある髪。そんなイメージに近いですね。

水分の調節

生まれたときから私たちの髪の状態は、積極的に水分を髪から放出、あるいは空気中の水分を吸収することで、絶えず髪の水分量を11~14%に維持しようとしています。

水分が多いと感じたら髪の水分を逃し、乾燥してきたら空気中の水分を吸収しようとする…なんかすごい機能ですよね。

まずはこれが「疎水毛」の条件のひとつです。

ちなみに、ヘアケアマイスターのテキストでは11〜13%と書いてたと思いますが、その辺はおおよその感覚で大丈夫です。

しかし、髪はダメージを受けると水を過剰に吸収するようになり、乾燥するとバサバサになってしまいます。

このような髪を「親水(しんすい)毛」と呼びます。「水と親しい」と書く訳ですから、かなり「水がなじみやすい」状態と言えますね。


髪の喩えとしては少し悪い表現になりますが、使い古した雑巾のような状態です。

床にこぼした水を拭き取るには、おろしたての新しいタオルより水の吸いが良くて都合がいいし、よく絞って干しておけばすぐに乾きます。

これを髪の毛におきかえると、先ほど書いた「水を過剰に吸収し、乾燥するとバサバサになる」という状態に近いというのがわかると思います。

そしてさらにダメージが進むと、水を吸うと髪が「とろん」としてしまう「吸水毛」という状態になります。

こうなると基本的に修復が困難になります。

また、水を10%以下しか保持できない髪は「撥水(はっすい)毛」と言います。

例えば、縮毛矯正の施術時に、ストレートアイロンの熱で髪の水分量が減り、静電気で髪が広がってしまうことがあります。

この時の髪の水分量は、5〜6%にまで下がっているのです。

ゆえに、髪が疎水であることは、健康な髪であるための重要な条件であると言えます。




等電点

加えて、プラスやマイナスの電荷が最も少なくなり、髪が最も引き締まっている状態にあることも健康毛に欠かせない条件です。

電荷が±0の状態になるpH(ペーハー)を等電点と言います。

髪の等電点は、pH4.5〜5.5であり、pHが5.5以上になるとアルカリ膨潤、pHが4.5以下では酸膨潤を起こし、膨潤で緩んで水を吸いやすい親水状態になります。

「親水状態」というのがどんな状態かは、もうお分かりですよね?





皮脂によるバリア機能

以前、CMCについて説明した記事でも書いたように、キューティクルには皮脂を毛先まで運んで回復させる自己回復能力があります。

これも疎水毛であるためには欠かせません。

これによって髪が保護され、髪本来の自然なツヤが出て、美しさを保つことができるのです。

このように、疎水毛であるための最低限の条件は、

①水分が11〜14%に調節できる機能があること

②髪の電荷が±0の等電点であること

③キューティクルが皮脂を毛先まで運ぶ機能があること

以上の3つになります。



ダメージケアの考え方の根底に、このような基準があるんです。それでは次回も宜しくお願いいたします!

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