TOOL MAGAZINEってなに?という方はこちらをご覧ください。
今回はこちらの続きです。
美容学生から頂いた質問、今回はこんな質問。
「困った注文ってありますか?」
「学生時代にやっておくべきこと」
「困った注文」
美容師としてお客様に携わる際、なんでも思い通りに行くことなんてありません。
その中でも困った注文に遭遇する機会は美容師生活の中でなくはないはず。
先輩美容師さんたちはそのような時にどのように対応しているのでしょうか?
「学生時代にやっておくべきこと」
卒業して社会人経験のある先輩たちの視点では「やっておくべきこと」はなんなのか?
色々な意見をもらうことができました。
早速覗いていきましょう!
今回座談会の登場人物
編集長、これでも正社員の美容師
ニュージーランド美容師、ヘルスケア領域の事業を展開している
加藤亮平、GO TODAY SHAiRE SALONのフリーランス美容師
加藤雄太、salowin銀座のフリーランス美容師
前回の続きですので登場人物は一緒です。
困った注文の定義ってなんだろう
さて、次のお題は「困った注文」ということですがみなさんいかがでしょう?
少なくともみなさんのキャリアの中で経験のある方はいらっしゃるのではないでしょうか?
考え方でいうと”不可能なことを求められたこと”っていうことなんでしょうかね?
困る、困らないってよくよく考えたら難しいですね。
具体的な事例で挙げるならインスタの画像などをお見せいただく際に忠実な再現が難しい時はありますよね。
例えば、加工済みやライティングで見え方が変わるハイトーン系のカラーやブリーチ毛に対してのハード系のパーマとかがそれに当たるかなと思います。
そうですね、ここのポイントって現在のお客様の髪の状態に対してどこまで提供ができるかの線引きはプロの僕たちの判断で、その判断に対していかに納得をしてもらえるような説明ができるかっていうことだと思います。
とはいえどんなに不可能だと判断しても「これはできません!だめ!」で終わらせてしまうのも良くない。
お客様が求めているゴールを遮断するのではなく、どんなルートを辿れば辿り着けるか?もしくは別のゴールを目指せるかをいかにコミュニケーションで納得してもらうかっていうのはすごい大事ですよね。
この答えは私は用意できなかったかもしれないですね。
個人的な見解ですが、キャリアが浅いうちはその説明がうまくいかないことの方が多いと思います。
というのも経験からくる予測が立てられないからです。
「このままカットしたら跳ねる可能性がある」とか「今のダメージに対してこれだけの負担を髪にかけたらこうなる」みたいなのってある程度の成功不成功の経験があってこそ可能になると思うんですよね。
だから”困った注文”に遭遇した時に、お客様から納得が得られなかったのであれば原因は経験不足だから、必ず反省をしなければいけないのは僕たちの責任だと思います。見過ごしてたらきっと同じことを繰り返すだろうから
ちょっと話は逸れるかもしれませんが、苦い経験があります。
実現が不可能な注文を頂いたお客様に「何もしないで」お返しをしたことがあるんです。
その後、当時の店長にめちゃくちゃ怒られたことがあって…なんか僕怒られてばっかだなw
理由としては「何一つお客様のプラスになってない」ということ。
そのままお返しすことってイコールそのサロンには行かなかったのと同じ意味になってしまうじゃないですか
爪痕一つ残せてないわけですから…当然またご来店してくれる可能性は限りなく0に近いってことになっちゃうんですよね。
いくらお客様のためだったとはいえ、何か一つでもプラスになることをやってあげようと思う気持ちが無ければ意味がないんですよね。
そういったマインドがあって初めて技術というものが成り立つんだと思います。
これめっちゃ大事なことだと思います。
期待を持ってご来店されたお客様からすれば、何もしないでお返しするっていうのはあまり良くない意味で期待を裏切ってることになっちゃいますからね。
「期待以上を提供して初めて感動になる」とはいうけれど、この場合なら少しでも根拠のあるハサミを入れることが価値になったのかもしれないですね。
ただ困った注文を並べるだけの薄い内容になってしまいそうなテーマかと思いきや、思わぬ深い話を聞くことができました。
スタイリストなりたての頃は、思わぬ注文にあたふたしてしまうこともあるでしょう。
しかし、お客様が求めていることをまっすぐ受け止め、プロとしての再提案を納得してもらうスキルはお客様からの信頼を得るきっかけになります。
アシスタント時にスタイリストのカウンセリングを聞いて「自分ならどうするか」をシュミレートしてみるのも良いかもしれません。
こんな意見もありました
さて、コメントを紹介していきましょう。
・ボブスタイルの注文で見せてもらったスタイルがガッツリハイレイヤーなスタイルだった時です。
・やりたいイメージはあるが矛盾だらけのスタイルを出来ないと説明するときです。
例えば、前下がりにしたいけど後ろは長く残したいみたいな…
例えくらいのことであれば説明も簡単ですし理解して頂ける方がほとんどです。しかし、理解して頂くのが難しいような要望や不可能なスタイルをご納得して頂くのが難しい場合があります。
・ワックスもりもり、ハードスプレーバキバキのメンズにシャンプーはしないでいいからそのままカットしてくれと言われたこと。
・カットラインが矛盾があったりすると困ります。なのでお客様の1番重要なことと1番嫌なのは何かを確認して最善な形を提案する感じにしています。
・他の方の意見と同じような感じですが、確実にできないことへのオーダーかな。
・「ご自身の髪の毛の髪質の理解が乏しい上に施術上難しい事を理解してもらえない場合」
極めてまれですが、でも他のサロンではとかできるって言われましたなどと言われて困った案件が一度だけありましたね。
ここで大事だと思うのは、お客様に誠意をもってお客様がご自身の髪質を理解する事を手助けしてあげる事。
理解できないのは納得のいく答えをもらえないからですので、お客様の性質にあった理解を促す力量や柔軟性が必要に感じます。
・ブリーチを何度もしている髪の毛に、巻き髪風パーマをあててくださいと言われた事です。ご新規の方でしたのでお客様の髪の毛の状態をお教えして理解して頂きました。
いただいたコメントも同様に、私たちが判断した実現不可能な注文に対して「出来ません」と答えるのではなく、いかにお客様に不快な思いを与えずに現状の理解と提案の納得をしていただくかがポイントになるようです。
学生時代にしておくべきことを教えて欲しいです
さて、今回の最後のテーマです
「学生時代にしておくべきこと」これ難しかったです…
いかんせん私、通信制なので美容学生時代というのを過ごしてなかったんですよね。大学時代は本当にロクでもない学生だったのでなんのアドバイスをできない…w
今だから言えることでもあるかもしれないですけど、2年間というできることが限られてる中でいかに考えて行動できるかですよね。
例えば「仕事とどう向き合っていくか」を考える時間を作ったりして欲しいですかねー?
あとは本を読んだりでいろんな人の考え方インプットして欲しいですね!
どんな美容師になりたいか?を考える時間にして欲しいですね。
いずれにせよ今の時代を生きるにはSNSに慣れることは絶対に必要なことだと思います。
美容師と発信は必ずセットになるので学生のうちから発信の感覚に慣れているとめちゃくちゃ強く慣れるんじゃないかなーと思います。
僕たちの世代って頑張って発信している世代ですよね。
今の子達って発信が生活の一部にあるじゃないですか、僕たちからしたらその感覚めちゃくちゃ羨ましいですよね。
なんせ僕たちはmixi世代ですから日記感覚からスタートしてますもんね。
mixi…w
もはや黒歴史レベルの財産です、まだアカウント残ってるかな。
まあ、そこは置いといて。
発信が当たり前の中でどうしても周りと比べてしまいがちですよね。
見失いがちになってしまいやすい環境にいるかもしれないからこそ自分を大事にしてほしいですね。
さらに言えば、将来大事にしたいと思うことを一生懸命考えて逆算できるようになれるといいなって思います。
ちょっと個人的な意見もいいですか?
美容師という未知の世界を手前にしている彼らからすると、もう少しシンプルでもいいような気がします。
僕たちが経験したキャリアをフィルタにかけるとどうしても複雑になってしまうかがするので…
それら踏まえて僕が思うのは「感情の振れる出来事に多く触れること」この振り幅を増やす機会を多く作ると何がいいかって”人間味”に溢れるようになると思うんですよね。
美容師って職業って人対人の仕事だから、お客様がつく人って人間味に溢れている人多いんですよね。
まさにですね!
そういった観点でアドバイスするのであれば、「挨拶」と「お礼」ができるようになることですね。
未知の世界ということで不安なことは多いと思いますが、技術に関しての不安はいずれ解消することができます。練習すれば必ず習得できるので。
人間性はその人から滲み出るものなのでいくら技術が進歩しようとも並行して進歩するものじゃないんですよね。
基本的なことを徹底してやることはいつになっても大事だと思います。
基本的なことの重要性ってキャリアを積むほど実感しますよね。
この辺りって僕たち先輩が背中見せていくって超重要なんだろうな。
皆さんいろんなご意見ありがとうございます!
私たちみたいな10年以上のキャリアを経て「ああ、あの時はこうだったな」の要約を少しずつ学生の皆様にメッセージとして届けられる活動を今後もしていこうと思います
定期的に機会作ろうと思いますのでまたよろしくお願いします!
学生時代の後悔、とまではいかないまでも社会人を経験して初めて感じる当時の時間の使い方。
2年間という限られた時間は、長いようであっという間に過ぎてしまいます。学生の時に経験した学びや遊びは、就活だけでなく今後の人生にも深く関わります。この記事を参考にぜひ有意義な学生生活を模索してみてください。
こんな意見もありました
・しっかり遊ぶこと。
いい作品など見て当たり前レベルをあげる。
今の時代でしたらSNSを駆使してファンをつくっておくことでしょうか⁈
・よく言う遊んでた方がいいかと!
遊びと言うより色々な経験や色々な人に触れてることかと。
・僕は通信だったので中間生とはまた感覚が違うかもしれませんが、学生でも受け入れ可能なサロンさんがあれば美容室でバイトをした方がいいのでは?と思います。
もちろん美容師免許はないので洗濯や掃除、受付業務など、美容の技術というよりもサロンワークをなるべく早い段階からライブで感じておくことは結構有利だと思うんですよね。
技術は別として接客やお客様との会話、それこそ目で盗むじゃないですけどずっとみていることでも『こういう時はこうだな』っていう引き出しも増えるし、本当に好きで美容師になりたいならいち早くその環境に身をおくことはめちゃくちゃ有利だと思います。
とはいえ僕は大学の時に『バイト代なんていらないんで美容室で働かせてください!』とお願いしたら、そんなこといいから遊べと言われました。笑
・学生時代に遊んでおくのも大事かとは思います。
ですがやっぱり学生時代から今だったらSNSで自分が何が得意なことか発信するとかウィッグやモデルさんで自分の作品をあげるとかサロンで働く前から意識を高めたりは大事だなと感じてます。
SNSをすると自己ブランディングもしっかり考えますしたくさんの方とも繋がれると思うので!自分は学生の時遊んでしまったので苦労しました。。
どうせいつか苦労するなら先にして後で楽したいなの方がいいかなと個人的には思います。
・本をたくさん読む。色んな場所へ行く。たくさんの人と会う。
働くための準備というより人としての経験値をとにかく上げておくことが大事かなと思います。
結果として自分の経験が仕事でも活かせるはずだし、自然と魅力的で信頼できる仲間ができてると思うので。
・本を読んでぶれないマインドセットを覚えて方がいいと思います。技術も努力ですがお店によって方向性を変えられたり、自分の得意分野が見つかるのは接客という実践を通しての事が多いのでむしろ焦らない方がいいと思います。
人間結局は人間力であって、人と一番多く喜ばす事ができた人が優秀です。
どうしたら美容師として体制できるかはちょぴっとだけ考えておいて、あとはとにかくどのラインでお客様を幸せにしようかを考えて方がいいと思います。
・とにかく色々な髪型に触れる事が大事かと思います。
クリエイティブなのも良し、日常に過ごしやすい髪型はどのようなものであるか観察、そして考察することにより、提案力が上がると思います。
英語のことわざに「Work while you work, play while you play.」というのがあります。
翻訳すると「よく学び、よく遊べ」ということ。
まさに先輩のアドバイスはここにあるのでしょう。
何事にも全力で取り組むことは人生において大事な財産になるはずです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
TOOL MAGAZINEでは引き続き美容業界の皆様からのご意見や疑問を募集中です。
編集長自らその業界に取材に行ってきます!
こちらからご連絡お待ちしております。次回もお楽しみに!
サロスクマガジン編集長
美容学生と美容師に取材を行っている
本職は美容師
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